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大学事務局の組織と業務 ~獨協大学の事例を中心に~

大学事務局の組織とその業務は、大学業界未経験者にとっては馴染みの薄いものかと思います。たとえば、奨学金の受付事務を学生部が行っていることは事務分掌としては一般的ですが、ご自身で実際に奨学金を利用したことのない方にとっては、エッと思うことかもしれません。

そこで今回、獨協大学のサイトに部署名及びその説明、さらに、事務部署ごとの専任職員数が掲載されておりましたので、引用を中心に、適宜説明を加えていきたいと思います。(カッコ内は専任職員数です)

獨協大学 事務局業務概要 (2016 年4月 1 日現在、各業務は例示)
総合企画部 総合企画課(8名)
大学の基本計画に係わる立案・調査・資料収集、周年事業、官公庁・私立大学連盟その他関係機関に係わる調査報告および視察、大学広報(大学ホームページ、大学ニュース等)、父母懇談会等に係わる業務
⇒大学事務局のコントロールタワーであり企画系「何でも屋」。獨協大学は広報部が独立していないようですが、ホームページ管理は通常は広報部、また、父母懇談会は学友部や総務部が一般的に担当します。

自己点検・評価室 事務課(2名)
自己点検・評価、機関別認証評価、FD活動、授業評価アンケート、教育環境改善アンケートに係わる業務
⇒期間別認証評価は法令で義務付けられた外部評価であり、7年に1度実施しなくてはなりません。それへの対応のために専従部署を設置しつつ、認証評価の実施年度以外はFD活動(ファカルティ・ディベロップメント)を担当しているようです。

総務部 総務課(3名)+部長1、次長1
大学行事の企画運営、教授会等の庶務、文書・諸規程に係わる管理、外来者の受付渉外に係わる業務
⇒大学行事の企画運営とは、おそらく入学式や卒業式のことでしょう。どこの大学にも分厚い規則集(学則とか、委員会ごとの規程とかいろいろ)がありますが、その管理も行っているようです。部長・次長を除けば3名のようですが、この人数で教授会まで回しているのは驚きです。

総務部 人事課(7名)
教職員の採用・異動・研修および給与・福利厚生に係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。なお、事務的に教員の採用等も行っていますが、教員の人事権は実質的に教学組織(学部等)が持つのが一般的です。

経理部 会計課(4名)+部長1、次長1
大学資金・財務管理、予算・決算業務、授業料納付、金銭の出納、寄付金に係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。

施設事業部 施設事業課(5名)+部長1
施設設備の計画立案、キャンパス・マスタープランの策定に係わる業務。大学の資産管理、機器備品・用品の購入および管理、施設設備の維持管理に係わる業務
⇒民間企業では総務部が担当するような仕事ですが、大学にとって施設は重要な学生サービスの一部であるため、専従部署が置かれるのが一般的です。また、伝統校では校舎の老朽化や耐震補強なども重要な課題です。

施設事業部 情報基盤整備課(5名)
情報ネットワークおよび事務システムの情報基盤の構築。情報セキュリティ、情報事務システムのサポートおよび管理
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。おそらく技術的にはIT企業から派遣されたSEさんに依存しています。

教務部 教務課(29名)
学部学生の履修登録・授業・試験・成績に係わる庶務、学籍に係わる庶務、各種講座の庶務、また、教職、司書・司書教諭の履修および免許取得に係わる業務
⇒学生の授業・試験などを一手に引き受ける部署で、どの大学でも最も多くの人数を充てています。履修登録を行う4月や、定期試験の時期、卒業判定の時期などが繁忙期となります。

大学院事務室 事務課(4名)+部長1
大学院生、法科大学院生の履修登録・授業・試験・成績に係わる業務
⇒業務内容は教務課と同じです。

学生部 学生課(7名)
学生証・学割証・住所・奨学金等の学生生活全般に係わる業務
学生部 カウンセリング・センター
学生のカウンセリング、ワークショップの企画・実施に係わる業務
学生部 敬和館
敬和館(女子寮)の運営・管理に係わる業務
⇒学籍の管理や奨学金事務が主業務となります。また、学生からのよろず相談を受け付けるのも学生部の仕事です。

入試部 入試課(9名)
入試および関連業務(入試広報、入試説明会・高校訪問)の企画・実施、入試資料の整理等に係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。2月の入試本番時期以外は、高校訪問や入試説明会などPR活動を行っています。

保健センター 事務課(5名)
教職員・学生の健康管理および救急処置に係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。事務組織の規模のわりに人数が多いのは、もしかしたら看護師が含まれているからかもしれません。

学友会 総務部長室事務課(4名)
学生の課外活動に対する支援業務(学内利用の受付・相談・表彰等)
⇒クラブ・サークル活動や学園祭などのサポートを行うための部署かと思われます。このための専従部署を設けている点は特徴的で、他大学では学生部や総務部の担当であることが一般的です。

キャリアセンター 事務課(8名)+次長1
企業等の求人情報・OB等からの情報収集と提供・管理、就職相談やガイダンス、各種講座の実施に係わる業務
⇒いわゆる就職課であり、その名のとおりの業務内容です。

図書館 事務課(17名)+次長1
図書・視聴覚資料の購入・保管・利用に係わる業務、図書情報システムの維持管理・利用者サービスに係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。専任職員が管理職を含めて18名もいるというのは、この規模の大学としては非常に多いように感じます。あまり業務委託を活用していないのかもしれません。

教育研究支援センター 教育研究支援課(7名)+次長1
学習支援システムの運用、外国語教育支援に関する業務。各種講座の運営に関する業務。
⇒学生の「学び」をサポートするための部署で、どこの大学でも近年力を入れてきています。

教育研究支援センター 教育研究推進課(6名)
本学研究所の運営事務、研究支援。教育および研究支援にかかわる情報収集業務。
⇒外部研究資金の申請や、研究費の管理などが中心かと思われます。

国際交流センター 事務課(5名)
国際交流協定校の開拓・協定の変更、学生・教員交流の庶務、外国人客員教員受入れ、国際共同研究の庶務、インターナショナルフォーラムの実施に係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。

エクステンションセンター 事務課(5名)
オープンカレッジの企画立案・実施、各種講座・オープンスクールをはじめとする生涯学習・授業外学習の企画立案・実施に係わる業務
⇒「エクステンションセンター」とは、大学が運営するカルチャーセンターのようなものです。大学にとっては副収入源として期待したいところですが、実際のところ収支の帳尻を合わせるだけでも大変です。

以上、獨協大学の事例を参考に大学事務組織に関する説明を加えてきましたが、獨協大学は専任職員数が151名(2016年5月時点)で、私立大学の中では中堅どころです。事務職員の人数が限られているため、あまり部署を細分化できないという事情がうかがえます。小規模の大学ではその傾向が一層強いでしょうし、逆に大手の大学では広報や寄付金に専従の部署が置かれます。

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朝日新聞出版「大学ランキング」の事務職員データの活用と注意点

大学特集はどこの出版社でも定番の人気記事のようで、たとえば、朝日新聞の「大学ランキング」、読売の「大学の実力」、東洋経済の「本当に強い大学」、週刊ダイヤモンドも同様の特集を組んでおります。
その中で、大学業界志望者向けのデータを掲載しているのが「大学ランキング」であり、事務職員の採用数や倍率、自校出身者比率などのデータを提供しています。
そこで今回は、朝日新聞出版「大学ランキング2016」の情報をもとに、大学事務職員の採用に関するデータの考察と、数字に関する留意点などをまとめてみたいと思います。

大学事務職員の採用倍率(新卒)

1.京都産業大学 128.9倍

2.法政大学 120.0倍

3.青山学院大学 97.0倍

4.中央大学 83.5倍

5.東京理科大学 80.8倍
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10.中京大学 62.2倍
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20.順天堂大学、立正大学 29.0倍
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30.岩手大学 22.5倍
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40.愛知学院大学 14.4倍

最初のデータは新卒採用倍率。2位の法政大学までは100倍を超えており、大手民間企業と比べても遜色ないほどの人気ぶりとなっています。法政大学の学生数は10位くらい(約2.7万人)なので、民間企業風の言い方をすれば「準大手」クラス。準大手で120倍なのだから、やはり就職市場において大学業界全体の魅力が高まっていると考えてよいでしょう。(もっとも、全国780大学のトップ10なので、他大学から見れば「雲の上」の大学です)
ちなみに、「大学ランキング」は国公私立大学すべて含めてのランキングです。国立大学のトップは東京医科歯科大学で32.3倍、公立大学のトップは岩手県立大学で40.4倍となっています。

ここで注意すべき点として、国立大学は地区ごとに実施される一次試験をパスしなければ大学別の採用試験(二次試験)を受験できません。このため、国立大学の採用倍率は2次試験における数字だということで、私立大学とは計算のベースが違います。
また、細かいところを指摘するならば、国立大学の採用(独自採用を除く)には新卒・既卒の区別がありませんので、厳密には「新卒ランキング」に入れるべきではありません。

大学事務職員の採用倍率(既卒)

1.千葉商科大学 209.0倍

2.神戸女学院大学 145.6倍

3.神奈川大学 123.2倍

4.工学院大学 108.3倍

5.文京学院大学 100.0倍
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10.大東文化大学 65.0倍
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20.名古屋女子大学 19.6倍

中途採用の倍率では1位の千葉商科大学が200倍を超えてきました。なお、別の年度のランキング(大学ランキング2015)では、4位の東京経済大学までが200倍超えとなっております。全般的に2016年度よりも2015年度のランキングの方が明らかに高倍率となっているため、ただの偶然なのか、何か他の要素があるのか、そのあたりが気になります。

また、上記の採用倍率(新卒・既卒)と、後述する自校出身者比率は、採用数5名以上の大学のみを集計対象としています。もしも採用数が1名または若干名という大学を加えれば、かなりランキングは変動するものと思われます。

新規採用者数

1.筑波大学 47名

2.東北大学 46名

3.昭和大学 45名

4.日本大学 44名

5.東北福祉大学 43名
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10.東京大学 36名
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20.山形大学、東海大学、同志社女子大学 28名
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32.大阪大学、長崎大学、神戸学院大学 23名

新規採用者数は国立大学が上位にランクインしています。また、3位が昭和大学、4位が日本大学となっており、やはり病院職員の採用が多いということでしょう。

なお、「大学ランキング」では特に説明がありませんが、おそらく上記の数字は専任以外の雇用形態も含まれているものと思われます。というのも、1位の筑波大学が47名となっておりますが、同大学の平成28年度の採用予定者数は17名(27年度は15名)であり、かなり数字に開きがあるためです。その他の大学に関しても、専任職員の採用者数とは思えません。(ということは、採用倍率のデータに関しても専任職員以外が含まれているのでしょうか?詳細不明ですが、数字の意味合いが全く変わってきてしまうので、ぜひ注釈を充実させていただきたいところです)

自校出身者比率

1.跡見学園女子大学、創価大学、同志社大学 100.0%

4.専修大学 87.5%

5.広島大学、関西大学、京都女子大学 83.3%
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11.同志社女子大学、名古屋外国語大学 78.6%
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20.愛知淑徳大学 61.9%
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29.信州大学、関西学院大学 52.6%

2016年ランキングでは1位(100.0%)に3校が並びました。創価大学は2015年ランキングでも1位(100.0%)となっています。一方で同志社大学は2015年ランキングでは33位(62.5%)となっており、年度によってかなりバラツキが感じられます。

自校出身者比率は、採用倍率より圧倒的に重要な数字です。というのも、実力さえあれば高倍率を勝ち抜くことができますが、自校出身者比率が高い大学においては、実力以前の段階で勝負が決してしまうからです。
29位の関西学院大学でも5割を超えていることから判断すれば、私立大学における自校出身者の優位性は明らかと言えるでしょう。
もっとも、大学数の少ない地域・地方においては、自校優遇とは別の理由、すなわち生活通勤圏の問題から、結果として自校出身者の比率が高まるという事情はありえることと思われます。

国立大学に関しては筆記試験が重視されますし、また、自校出身者が応募してこないような大学もありますので、出身大学による有利不利は意識しなくてよいでしょう。5位に広島大学(83.3%)が入っていますが、おそらく広島県庁と併願受験する広大生が多いのだと思われます。

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紹介予定&派遣求人給与ランキング(6月2日)

6月2日付けの紹介予定&派遣求人の給与ランキングは以下のとおりです。
トップはまさかの立命館。給与水準は東高西低が定着しておりますが、それを覆す1600円という高待遇での募集です。大学院生向けの補助金説明や企業との連携イベントの開催などが主な業務。補助的な立ち位置ならばさほど難易度は高くない印象を持ちました。次点は慶應義塾、さらに、昭和女子大学、早稲田大学、武蔵野大学が後を追う展開です。

1600円:立命館(研究・産学連携)
1540円:慶應義塾大学
1500円:昭和女子大学
1500円:早稲田大学(国際交流)
1500円:武蔵野大学
1420円:早稲田大学
1400円:拓殖大学
1400円:日本大学
1300円:法政大学
1200円:同志社
1200円:宝塚医療大学
1150円:立命館(研究所)
1000円:立命館

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「職業人養成大学」の新設に関する一提言 ~高等学校後期課程の新設~

現在、文部科学省は、学識経験者らを集めたプロジェクトチーム「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会」を組織し、大学に準じる新たな高等教育機関の制度化を検討しています。
当該の教育機関は名称未定の段階であるため、以下では「職業人養成大学」と記述します。

実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会(文科省HP)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo13/index.htm

「職業人養成大学」の概要

上記の特別部会はすでに17回(2016年5月25日時点)が開催され、この時点で話し合われている「職業人養成大学」の概要は以下のとおりです。

修業年限
◎ 2・3年制及び4年制の複数の修業年限を制度化。
◎ 4年制課程については、前期・後期の区分制課程も導入。

教育内容・方法
《実践的な職業教育のためのカリキュラム》
◎ 分野の特性に応じ、卒業単位のおおむね3~4割程度以上は、実習等(又は演習及び実習等)の科目を修得。
◎ 分野の特性に応じ、適切な指導体制が確保された企業内実習等を、2年間で300時間以上、4年間で600時間以上履修。
《産業界・地域等のニーズの反映》
◎ 産業界・地域の関係機関との連携により、教育課程を編成・実施する体制を機関内に整備
《社会人等が学びやすい仕組み》
◎ 社会人等をパートタイム学生や科目等履修生として積極的に受け入れる仕組みや、短期の学修成果を積み上げ、学位取得につなげる仕組みを整備。

学位
◎ 実践的な職業教育の成果を徴表するものとして相応しい学位名称を設定。
※ 学位の種類としては、大学・短大と同様、「学士」及び「短期大学士」の学位を授与することが適当。
※ 現行の大学・短大の学位には、専攻分野の名称を付記するものとされているが、新たな機関では、当該専攻分野の名称として、学問分野よりも、産業・職業分野の名称を付記することや、専攻分野に加え、「専門職業」、「専門職」などの字句を併せ付し、専門職業人養成のための課程 を修了したことを明確にすること等が適当
⇒ 「法務博士」のような有名無実の学位になりかねません!

名称
◎ 例えば、4年制は、「専門職業大学」、「専門職大学」など2・3年制は、「専門職業短期大学」、「専門職短期大学」など。

「職業人養成大学」に反対する3つの理由

小生は以前のブログエントリーにて、「職業人養成大学」に反対する理由を3点述べました。

1. 「専門職なら食べていける」という勘違いが前提の教育政策
2. そもそも「専門的職業」とは何なのかが明示されていない
3. 理系単科大学並みの高コスト体質になる

政府肝いりの『職業人養成大学?』がコケそうなワケ
https://shokuinblog.com/edu/politics/835/

ポイントを要約します。まず、「専門職なら食べていける」という勘違いについては、介護職や保育士を例にとれば分かりやすいと思いますが、雇い主を必要とする専門職は非常に立場が弱い、ということです。一度は就職したとしても、低賃金・重労働のため、その職業に長く定着することができません。
2つ目の問題は、そもそも「専門的職業」とは何なのかが漠然としたまま議論が進められており、いわゆる「ジェネラリスト」と何が違うのかが全く分からないということです。
3つ目の問題は、「職業人養成大学」がかなりの高コスト体質になるだろうという点です。人件費のかかる実習科目が中心となることに加え、大学のような教養科目も置かなくてはなりません。法科大学院の募集停止が相次いでいるように、私立学校は採算が取れないと知るやいなや、即座に撤退していきます。

職業人養成教育は高等学校の後期課程として新設するべきだ(提言)

2016年1月20日に開催された特別部会(第9回)で、委員の益戸正樹氏から次の発言がありました。この方はバークレーズ銀行の日本支社幹部です。

私は,1980年から85年まで,都市銀行の人事部で採用担当の経験があります。当時,高校から大学,短期大学への進学率が高まり始め,優秀な高卒の方の採用が難しくなり始めた頃です。「特に中小企業・リテール業務でリーダーシップ」を発揮していた中堅マネージメント候補者となる男子高卒者のレベルを維持した採用は難しく,銀行界ではいち早く採用中止を決定しました。

これに対して、佐藤東洋士氏からも、次の発言がありました。この方は桜美林大学の総長です。

先ほど益戸委員が1984年に銀行が高卒の生徒を採らなくなったというようなお話がありました。それまでのことを考えると,高等学校もいわゆる商業高校や農業高校,工業高校はかなり良い人材を産業界に出すというような役割がありました。

さて、小生も金融に10年ほど勤めておりましたが、当時も一般職に関しては高卒者の採用が残っていたように記憶していますし、1980年代頃までは当たり前のように女子高卒者を採用していました。
その時代、大手企業がどのように高卒者を採用していたかというと、学区トップ校に学校推薦枠というものがあったのです。女子の大学進学率が低い時代でしたから、成績優秀な女子学生は高卒で一流企業へと就職していきました。この時代に入社した女性の中から、大企業で役員まで昇格する人が近年相次いでいます。
佐藤東洋士氏の言うように、もともと日本の高校には良い人材を社会に送り出す能力があります。いまも工業高校などではその伝統が残っており、大卒者がなかなか入れないような有名企業にも、技術職として卒業生を送り出しています。

この30年で日本はすっかり大卒者中心の世の中になりましたが、教育水準が向上したというよりも、学歴社会をより強固にしたという負の側面の方が大きいでしょう。
いまここで重要なことは、「大卒か否かという二元論が支配する世の中を正していかなければならない」ということです。
学歴が「人生の特急券」になるような社会は、少ない勝者と多くの敗者を作るばかりか、大学教育の質をも落とします。学歴社会は大学にとっても望ましくはないのです。

学歴社会にブレーキをかけつつ、勤勉な若者がしっかりと評価される世の中を作る。そのために、以下のプランを提言したいと思います。

「職業人養成大学」の制度化に反対したうえで、これに相当する教育機関を高等学校の「後期課程」として位置づける。そして、2019年度から導入が予定される「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の成績優秀者に当該後期課程への進学を認める。

以上

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大学職員の地位向上についての一考察 ~大学職員はもっとオフィシャルな存在を目指すべきだ~

先日、現職職員のポポロンさんから、大学職員の地位向上に関してお便りをいただきました。
小生は大学運営や学校教育に強い関心を持っているつもりですし、大学職員として生きる日々に不満はありませんが、唯一、モヤモヤすることと言えば、大学内での「事務屋」という立場でしょう。この点、同業の方であれば共感いただけるのではないかと思います。

前置きはこのくらいにとどめ、まずはポポロンさんからのお便りをご紹介したいと思います。ほぼ原文ママとなります。

私は20代の事務職員であり、いわゆる大学事務職員が「人気職種」として注目を浴びてからの入職者です。
最近、個人的にかつての大学事務職員(「事務屋さん」と言われていた?)の存在感などに興味があり色々と自分でもそれとなく聞いたり、上司と飲んだ際に回顧録を傾聴しております。

もうお読みなったかもしれませんが「カレッジマネジメント」の最新号に龍谷大の記事が具体的な数字・事例が掲載してあり、個人的に貴重な資料となりました。

記事内容:http://souken.shingakunet.com/college_m/2016_RCM198_58.pdf

・龍谷大職員は7割強が自大卒者ということ。
・長野氏が若くして当時職員としては珍しく各種規定に携われ、今なお当時の規定が引き継がれていること。
⇒「当時の大学が組織的に未成熟だったからこそ若くして大きな仕事ができたのではないかと長野氏は振り返る。」
・職員の意欲向上のための給与体系システム
⇒「資格要件を満たせば、役職者の欠員状況等にかかわらず、かつより短期間で上位資格に昇格できる」
・当時としては珍しく職員の能力向上に尽力なされた原田氏のこと。
⇒「同氏は1960年3月に龍谷大学大学院文学研究科真宗学専攻修士課程を修了した後、1961年9月に職員として入職、最後は総務局長まで務めている。大学院修了者としての学識と説得力で、教員中心の検討体制の中にも違和感なく入っていけた。」

当時から大学職員能力と地位の向上に注力なされていた方がいたと思うと感動を覚えました。

管理人様の経験から、職員の変化に関し、聞いたことや実感することがありましたらお教えいただければと存じます。

小生もポポロンさんと同じく、大学事務職員が「人気職種」として注目を浴びてからの入職組です。
内定が出たあとで人事から聞いた話によれば、ES提出時点では倍率が100倍前後であったとのことですから、これは本当に狭き門だったのだなとゾッとしたのを覚えています。
そのような難関を突破したわけで、配属初日には「さあ仕事をするゾ」と意気込んではみたものの、指示された仕事はまさに「事務屋さん」以外の何者でもありませんでした。

そのときの上司は50代前半の方で、仕事帰りに近所の飲み屋によく連れて行っていただきました。
小生は他大学出身でしたので、生え抜きの事務職員に馴染んでいくことは必須でしたし、また、大学周辺の土地勘を得るうえでも貴重な経験であったと感謝しています。
そのような場で、小生も先輩職員(年齢的には大先輩ですが)から昔話をお聞きすることがありました。

その上司が大学職員になった経緯は、ゼミの先生からの紹介だったようです。「大学で事務職員を募集してるから、応募してみたらどうだ?」というような感じで誘われたのでしょう。
小生の勤務校の場合、教員からの誘いで大学に就職したという話をチラホラと耳にします。求人情報を就職課の掲示板でチェックしていたような時代ですから、そのような「ツテ」を頼りに就職先を探すことも珍しくなかったのだと思います。
ちなみに、その上司の入職動機は「仕事が楽そうだったから」ということで、このあたりは今も昔も考えることは皆同じようですね。(もっとも、その上司は平均して毎日4~5時間は残業していましたが)

さて、大学を取り巻く環境の変化とともに、事務職員に期待される能力は高まるばかりです。そのあたりはカレッジマネジメントに筑波の吉武先生が度々寄稿されているとおりだと思います。
日々の業務遂行に関するスキルアップは基本的にOJTが中心ですが、小職のまわりでは大学院進学を考えている事務職員が何人かいます。年齢的には40代の方が多いです。
大学経営を研究するのであれば、東京大学教育学研究科大学経営・政策コースや桜美林大学の大学アドミニストレーション研究科、正課ではありませんが筑波大学の大学マネジメント人材養成プログラムなどがあります。現職の方であればご存知かもしれません。

しかしながら、実際に大学院に進学した事務職員がどれだけいるかというと、小生の勤務校では片手で数えられるほどの人数しかおりません。時間のやり繰りはもちろん、経済的な負担も馬鹿になりません。
また、その方々が学位取得後に大学内で出世を重ねているかというと、必ずしもYesとは言えません。
大手企業のMBA派遣とは事情が異なるため、事務職員の大学院進学はあくまで「プライベート」な活動として扱われてしまうのが現状です。

大学職員の地位向上を実現していくうえで大切なことは、「オフィシャル」な活動を増やしていくことだと考えています。
たとえば、大学院で学位を取得して満足するのではなく、雑誌に論文を投稿したり、学会で発表したり、積極的に名前を売っていく努力が必要です。
そこまでやってはじめて、「あの人はすごい!」「あの事務職員は誰だ?」という評価に繋がります。周囲や社会から評価されるためには、オフィシャルな存在にならなくてはいけません。

事務職員は舞台の「黒子」だと言われます。黒子には名前すらありません。大学職員が事務屋(=黒子)から脱皮するためには、名前を売って役者になる必要があるということです。

近頃では意欲的な事務職員が増えてきました。大学関係者向けの勉強会やセミナーに熱心に通う人、書籍やメルマガ等で情報収集をする人、努力の方法は人それぞれです。事務職員の中には、知識を蓄えて「参謀」を目指す人もいます。
しかし、いまやインターネットで瞬時に必要な情報を取り出せる時代なのです。脳内ハードディスクに知識を詰め込むだけの事務職員では、とても教員と対等な関係を築くことはできません。ご無礼を承知で述べさせていただくと、知識を貯め込むだけの「物知り」では、「事務屋」と大きな違いはありません。

どれだけ知識を得たとしても、名前を売る努力をしないかぎり、オフィシャルな存在にはなれません。勉強をするのは大切ですが、勉強はあくまで内向き(プライベート)の活動です。外に外に、横並びから一歩前へ踏み出す努力、オフィシャルを意識することが肝要だと思っています。

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