カテゴリー別アーカイブ: 大学職員の基礎知識

法政大学職員の仕事紹介 ~読売新聞 就活ON!より~

読売新聞の人気コーナー「就活ON!グッジョブ」(6月14日朝刊号)に大学職員の仕事が掲載されておりましたので、適宜説明を加えつつ内容のご紹介をさせていただこうと思います。

今回記事で紹介されていたのは法政大学入試課の鷹觜美佳さん。現在は入試広報業務をご担当されており、オープンキャンパスの運営や各地の高校・予備校で開催される進学懇談会への対応にあたられているとのこと。大学の中では最も出張の多い部署でもありましょう。
ちなみに、入試広報というのは出願者増加を企図しての営業活動のことであり、出願時期の早い指定校推薦やAO入試などを見据えると、GW明け頃から各大学の競争の火蓋は切られているというのが・・・昨今の状況です。

ちなみに、多忙度70%というある一日の過ごし方は以下のとおり。

5:40 起床
6:40 自宅を出る
8:10 職場に到着
9:00 受験生向け雑誌への広告チェック
10:00 オープンキャンパスに向けた打ち合わせ
12:00 上司とランチ
13:00 都内の高校での進学懇談会に出席
15:00 大学に戻り進学懇談会の報告書を作成
15:30 オープンキャンパスに向けた打ち合わせ
16:30 入試広報業務に関する研修資料の作成
18:00 職場を出る⇒友人と夕食
22:00 帰宅
23:30 就寝

現在キャリア2年目の鷹觜さんも、入試課での配属当初の4月の進学相談会では、「東京都内で開かれた相談会に出席し、法政大学が実施する特別入試について高校生から尋ねられたが、何も知らずに頭が真っ白になった」とのこと。
わたし自身も入試相談会での現場対応を手伝うことがあるのですが、大学に関する知識があろうが無かろうが、高校生・保護者からの全方位的な質問に応じなければなりません。もちろん入試制度に関する相談が中心となりますが、最近では各大学とも入試方式や日程・会場を増やしているので、情報をアップデートしておかなければ誤った内容を案内してしまうことになりかねません。入試情報以外にも、カリキュラム(教育課程)に関することや、留学制度のこと、奨学金や学生寮の応募倍率など、内容は大変多岐にわたります。これらすべて、大学内では担当部署が異なるため、キャリアの浅い事務職員にとっては、ほとんど丸腰で戦場に飛び込むような感覚でありましょう。

そんな鷹觜さんですが、就職活動にはかなりのご苦労をされたそうです。大学ではフランス語を学び、ベルギーに留学。「文化振興の仕事をしたい」と、ホール運営会社など約40社に応募したが内定に至らなかったそう。そして、自分自身の経験を活かして留学する学生をサポートする仕事がしたいと、大学職員に志望を変更し、ついに第一志望の法政大学から初の内定を得られたとのこと。
実は鷹觜さん、出身大学のホームページでも紹介されているほど優秀な学生さんだったようです。大学業界の「中の人」は基本的に勉強熱心な学生に好感を持ちますから、とりわけ新卒採用の場合、成績は重要な判断材料になると思われます。面接会場での口八丁手八丁だけでは、学生数トップ10の法政大学への就職は厳しいかもしれませんね。

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大学事務局の組織と業務 ~獨協大学の事例を中心に~

大学事務局の組織とその業務は、大学業界未経験者にとっては馴染みの薄いものかと思います。たとえば、奨学金の受付事務を学生部が行っていることは事務分掌としては一般的ですが、ご自身で実際に奨学金を利用したことのない方にとっては、エッと思うことかもしれません。

そこで今回、獨協大学のサイトに部署名及びその説明、さらに、事務部署ごとの専任職員数が掲載されておりましたので、引用を中心に、適宜説明を加えていきたいと思います。(カッコ内は専任職員数です)

獨協大学 事務局業務概要 (2016 年4月 1 日現在、各業務は例示)
総合企画部 総合企画課(8名)
大学の基本計画に係わる立案・調査・資料収集、周年事業、官公庁・私立大学連盟その他関係機関に係わる調査報告および視察、大学広報(大学ホームページ、大学ニュース等)、父母懇談会等に係わる業務
⇒大学事務局のコントロールタワーであり企画系「何でも屋」。獨協大学は広報部が独立していないようですが、ホームページ管理は通常は広報部、また、父母懇談会は学友部や総務部が一般的に担当します。

自己点検・評価室 事務課(2名)
自己点検・評価、機関別認証評価、FD活動、授業評価アンケート、教育環境改善アンケートに係わる業務
⇒期間別認証評価は法令で義務付けられた外部評価であり、7年に1度実施しなくてはなりません。それへの対応のために専従部署を設置しつつ、認証評価の実施年度以外はFD活動(ファカルティ・ディベロップメント)を担当しているようです。

総務部 総務課(3名)+部長1、次長1
大学行事の企画運営、教授会等の庶務、文書・諸規程に係わる管理、外来者の受付渉外に係わる業務
⇒大学行事の企画運営とは、おそらく入学式や卒業式のことでしょう。どこの大学にも分厚い規則集(学則とか、委員会ごとの規程とかいろいろ)がありますが、その管理も行っているようです。部長・次長を除けば3名のようですが、この人数で教授会まで回しているのは驚きです。

総務部 人事課(7名)
教職員の採用・異動・研修および給与・福利厚生に係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。なお、事務的に教員の採用等も行っていますが、教員の人事権は実質的に教学組織(学部等)が持つのが一般的です。

経理部 会計課(4名)+部長1、次長1
大学資金・財務管理、予算・決算業務、授業料納付、金銭の出納、寄付金に係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。

施設事業部 施設事業課(5名)+部長1
施設設備の計画立案、キャンパス・マスタープランの策定に係わる業務。大学の資産管理、機器備品・用品の購入および管理、施設設備の維持管理に係わる業務
⇒民間企業では総務部が担当するような仕事ですが、大学にとって施設は重要な学生サービスの一部であるため、専従部署が置かれるのが一般的です。また、伝統校では校舎の老朽化や耐震補強なども重要な課題です。

施設事業部 情報基盤整備課(5名)
情報ネットワークおよび事務システムの情報基盤の構築。情報セキュリティ、情報事務システムのサポートおよび管理
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。おそらく技術的にはIT企業から派遣されたSEさんに依存しています。

教務部 教務課(29名)
学部学生の履修登録・授業・試験・成績に係わる庶務、学籍に係わる庶務、各種講座の庶務、また、教職、司書・司書教諭の履修および免許取得に係わる業務
⇒学生の授業・試験などを一手に引き受ける部署で、どの大学でも最も多くの人数を充てています。履修登録を行う4月や、定期試験の時期、卒業判定の時期などが繁忙期となります。

大学院事務室 事務課(4名)+部長1
大学院生、法科大学院生の履修登録・授業・試験・成績に係わる業務
⇒業務内容は教務課と同じです。

学生部 学生課(7名)
学生証・学割証・住所・奨学金等の学生生活全般に係わる業務
学生部 カウンセリング・センター
学生のカウンセリング、ワークショップの企画・実施に係わる業務
学生部 敬和館
敬和館(女子寮)の運営・管理に係わる業務
⇒学籍の管理や奨学金事務が主業務となります。また、学生からのよろず相談を受け付けるのも学生部の仕事です。

入試部 入試課(9名)
入試および関連業務(入試広報、入試説明会・高校訪問)の企画・実施、入試資料の整理等に係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。2月の入試本番時期以外は、高校訪問や入試説明会などPR活動を行っています。

保健センター 事務課(5名)
教職員・学生の健康管理および救急処置に係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。事務組織の規模のわりに人数が多いのは、もしかしたら看護師が含まれているからかもしれません。

学友会 総務部長室事務課(4名)
学生の課外活動に対する支援業務(学内利用の受付・相談・表彰等)
⇒クラブ・サークル活動や学園祭などのサポートを行うための部署かと思われます。このための専従部署を設けている点は特徴的で、他大学では学生部や総務部の担当であることが一般的です。

キャリアセンター 事務課(8名)+次長1
企業等の求人情報・OB等からの情報収集と提供・管理、就職相談やガイダンス、各種講座の実施に係わる業務
⇒いわゆる就職課であり、その名のとおりの業務内容です。

図書館 事務課(17名)+次長1
図書・視聴覚資料の購入・保管・利用に係わる業務、図書情報システムの維持管理・利用者サービスに係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。専任職員が管理職を含めて18名もいるというのは、この規模の大学としては非常に多いように感じます。あまり業務委託を活用していないのかもしれません。

教育研究支援センター 教育研究支援課(7名)+次長1
学習支援システムの運用、外国語教育支援に関する業務。各種講座の運営に関する業務。
⇒学生の「学び」をサポートするための部署で、どこの大学でも近年力を入れてきています。

教育研究支援センター 教育研究推進課(6名)
本学研究所の運営事務、研究支援。教育および研究支援にかかわる情報収集業務。
⇒外部研究資金の申請や、研究費の管理などが中心かと思われます。

国際交流センター 事務課(5名)
国際交流協定校の開拓・協定の変更、学生・教員交流の庶務、外国人客員教員受入れ、国際共同研究の庶務、インターナショナルフォーラムの実施に係わる業務
⇒まさに部署名どおりの業務内容です。

エクステンションセンター 事務課(5名)
オープンカレッジの企画立案・実施、各種講座・オープンスクールをはじめとする生涯学習・授業外学習の企画立案・実施に係わる業務
⇒「エクステンションセンター」とは、大学が運営するカルチャーセンターのようなものです。大学にとっては副収入源として期待したいところですが、実際のところ収支の帳尻を合わせるだけでも大変です。

以上、獨協大学の事例を参考に大学事務組織に関する説明を加えてきましたが、獨協大学は専任職員数が151名(2016年5月時点)で、私立大学の中では中堅どころです。事務職員の人数が限られているため、あまり部署を細分化できないという事情がうかがえます。小規模の大学ではその傾向が一層強いでしょうし、逆に大手の大学では広報や寄付金に専従の部署が置かれます。

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図書館職員の仕事

図書館職員は、施設としての図書館の運営と、図書館の資産である図書等の管理を主な業務としています。他部署の大学事務職員に比べ、業務の専門性が高く、また、アカデミックな雰囲気が感じられる点も特徴と言えるでしょう。

図書館職員の業務内容

  • 資料の選定(選書)、契約・注文、受け入れ
  • 資料の配架・保管・貸出
  • レファレンスサービス
  • 蔵書目録の作成・管理(OPAC)
  • 企画展などのイベント企画・広報活動
  • 図書館予算の管理・執行

なお、図書館は大学組織の中で最もアウトソーシングの進んだ部署であり、蔵書の管理や利用者向けのサービス提供など、大手書店から派遣された多くのスタッフが施設のオペレーションに従事しています。

図書などの資料管理からキャリアをスタート、基本的かつ重要な仕事です

図書館職員の業務の中心と言えるのが、図書を中心とした資料の管理です。ここでは「図書」と記述しますが、実際には書籍だけでなく、デジタルデータや視聴覚資料など、資料の形態は様々です。
大学図書館では所蔵する図書を書庫や閲覧室に配架し、利用者へ貸し出すだけでなく、毎日のように新たな図書を蔵書に加えています。
これに伴う一連の業務として、図書の選定(選書)に始まり、書店との契約や注文、図書の納品や検品を行ったうえ、最終的には蔵書目録に記録することにより、図書を利用に供する準備が整います。
図書館の規模にもよりますが、毎日数十から百点程度の資料(雑誌が多い)を受け入れているため、バックヤードでパソコンに向かいつつ、上記の作業を淡々とこなし続けるのが、一般的な図書館職員の姿です。
ルールに従って作業をする限りにおいてはそこまでの専門性を求められないので、図書館配属後、まずはここからキャリアをスタートするのが一般的かと思います。

図書館職員の専門性は「レファレンスサービス」にあり

図書館職員としての能力を問われるのが「レファレンスサービス」です。
レファレンスサービスという言葉だけは耳にしたことのある方も多いかと思いますが、簡単に言えば図書検索係のことを意味しています。また、文科省のサイトではレファレンスサービスの意義を以下のように説明しています。

  • レファレンスサービスが行われていないと,実際に資料が所蔵されていても,利用者が探し出せず,あるいは短時間で回答を得られないため,効率的な利用ができず,資料が活用されない。
  • 利用者は,司書と相談することによって,問題解決の鍵を得るとともに,必要な情報や資料が提供され,課題を解決できる。
  • 評価の高い図書館ほど,レファレンスデスクと担当職員の配置を進めるなど,レファレンスサービスに力を入れている。

「これからの図書館サービスの在り方」より抜粋
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/giron/05080301/001/003.htm

上の記述にもあるとおり、レファレンスサービスが充実していないと、実際に資料が図書館に所蔵されていても、利用者の目に触れないという状況につながります。
従来型の図書館では長らく図書の貸出冊数が評価の対象となってきたため、レファレンスサービスに人員を割くということが行われてきませんでした。このため、図書館サービスや選書においても、良い意味でも悪い意味でも一般市民向けの運営となっており、文科省もその点については重い課題だと受け止めているようです。

レファレンスサービスに類似するものとして「OPAC(蔵書検索システム)」というシステムがありますが、書籍名や著者など限られた項目でしか検索ができないため、特定の図書を探すという場合以外ではあまり役に立たないのが現状です。
将来的にはAI技術の発展や図書の電子化が進むことにより、全文検索や精度の高い検索も可能になるとは思いますが、当面は司書の専門性に頼り続けていくことになるでしょう。

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採用試験の倍率と難易度

専任職員は229倍の狭き門となることも・・・

近年、大学職員が職業として人気化しており、雑誌などで度々取り上げられる機会も増えてきました。職業としての認知度が高まることは、より良い人材が集まることにもつながりますが、その一方で、応募倍率の極端な上昇を招くことにもなりました。

一例として、関西大学では例年30倍程度であった既卒者採用の応募倍率が、平成23年度には採用者3名に対して568名の応募者が殺到し、応募倍率は189倍となりました。国公立大学においても、神戸市外国語大学では平成27年度実施の採用試験において、採用者1名に対して応募者数は229名(すなわち229倍)となっています。

関西大学採用実績
http://www.kansai-u.ac.jp/saiyo/chuto_jisseki.html

神戸市外国語大学(平成27年実施)
kobe0220

このように、倍率だけを見ると超一流企業も青ざめるような高倍率となっており、少子化による経営危機などどこ吹く風で、人気の過熱ぶりは誰の目にも明らかな状況です。

書類審査・面接試験における「絞り込み」の事例

実際に大学職員の公募に申込むことになると、まず気になるのは各選考段階での「絞り込み」ではないでしょうか。すなわち、書類審査や面接試験でどの程度の人数が通過するのかということであり、ネットの掲示板でもこの手の話題でもちきりになります。

選考段階での「絞り込み」の方法については極めて情報が少ないのですが、特定非営利活動法人大学職員サポートセンターという団体のセミナー資料に法政大学と芝浦工業大学の事例が掲載されておりました。

法政大学
書類選考(464名通過)→筆記試験(142名通過)→一次面接(30名通過)→二次面接(19名通過)→最終面接(7名通過)→内定

芝浦工業大学
ウェブ選考(167名)→筆記試験(55名)→一次面接(26名)→二次面接(8名)→最終面接(4名)→内定(1名)

法政大学では書類選考で464名通過となっていますので、実際の応募者はその2倍以上かと思われます。両大学とも応募倍率は軽く100倍を超えています。これだけの応募者が殺到していることもあり、多少のバラつきはありますが、どの選考段階でも人数を1/3程度に絞っているなという印象を持ちました。また、当事者目線でヒヤリとするのが芝浦工業大学の最終面接で、4名が面接に臨んで通過者(内定者)はたったの1名です。最終面接でもしっかり絞られる、これが大学職員採用選考の現実と言えるでしょう。

「高倍率=高難度」というわけではない

100倍を超えるような高倍率を目の当たりにし、その数字にたじろがない人はいないでしょう。何かの雑誌に「大学職員の採用試験はオーディション並の高倍率」ということが書かれていた記憶がありますが、数字だけを見ればその通りかもしれません。

しかしながら、どれだけ高倍率であったとしても、それが必ずしも高難度とイコールではありません。もちろん応募倍率100倍の採用試験が簡単であるとは言いませんが、実際のところ100倍でも200倍でも大した違いは無いのです。
大学側の採用事情としては、いくら応募者が多いからといって、面接回数を増やすわけにはいきません。応募者が多ければ書類選考で多めに絞るだけのことであり、2次面接や最終面接に残るような実力者には大した影響とはならないでしょう。

言わずもがなですが、採用試験は「総当り戦」をやるわけではありません。応募倍率が100倍だからといって、100人抜きをしなくては内定を取れないというものではありません。100倍であろうと200倍であろうと、せいぜい3回から4回の面接をパスすれば内定に手が届くわけです。
最終面接に残れるような実力があれば、100名のうち90名は相手にならないでしょう。残りの10名の中に「特Aランク」が何名いるのか、それが本当の意味での難易度です。

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大学職員の自己研鑚

大学職員へのスキルアップ支援

大学教員の指導力強化に向けたFD(ファカルティ・ディベロップメント)とともに、事務職員の能力向上を図るためのSD(スタッフ・ディベロップメント)にも注目が集まっています。大学での業務習得は基本的にOJTに任される部分が大きいものの、担当業務の枠に縛られない能力開発が必要であるという機運が高まっているのです。

各大学においては職層別研修や年次研修などの集合研修を実施したり、海外研修や早稲田大学のように大学院派遣(修士)の制度を設けている大学もあります。SDに関する取り組みは大学間でかなりの温度差があるものの、一部の大学が牽引する形でスキルアップ支援のバリエーションが広がっています。今後は賃金や福利厚生制度だけでなく、こうした能力開発制度の充実度が職場としての大学選びのキー(鍵)になっていくでしょう。

グローバル化にキャッチアップするための英語力

大学職員に求められる専門性として、まず欠かせないのが国際化への対応です。例えば、文科省は平成27年度に「スーパーグローバル大学創成支援」事業として東大を筆頭に37大学への優先的資源配分を決定し、さらに世界トップ100位内に10大学をランクインさせる目標を立てています。日本の大学はいま、グローバルを目指すかローカルを歩むかの二者択一を迫られています。言うまでもなく、少子化と過疎化が進むこの国において、ローカルという茨の道を好き好んで歩く大学など無いわけです。

では具体的に、大学における国際化とはどのような活動や業務を指すのかと言えば、おおむね次の3点ではないかと思われます。すなわち、国際的共同研究、派遣留学先大学の確保、海外からの正規留学生の拡大です。研究と言うと教員の担当分野ではないかと思いきや、出入国や滞在中の諸手続きは大学職員がサポートに回ることも少なくありません。これらの国際化事業を実らせるためには、大学職員の英語力が必要不可欠です。おそらく大手の民間企業に比べても、英語力に対する潜在ニーズは高いと言えるでしょう。

その一方で、大学職員が働く現場では、英語力に対する過小評価も根強いのです。とりわけ管理職が英語力の習得に消極的な職場環境では、「英語だけ話せても中身が無い」などと一笑に付されてしまうのです。これでは英語を勉強してやるぞ、という機運が盛り上がるはずはありません。このような大学は口先でグローバルを語りながら、トップ大学との差が開くばかりでしょう。

IR・URAという新たな専門スキル

上述したSDではコンピテンシー的な能力開発に重点が置かれているのに対して、いま大学業界で重要性が高まりつつあるのが、大学職員の専門職化です。すなわち、入学試験から卒業式まで何でもこなすタイプの大学職員ではなく、特定の領域に特化したスキルを持つ大学職員を意味します。

現在のところ、具体的に必要性が語られている専門職としては、IRとURAがその代表格でしょう。それぞれ、経営分析を専門とする「インスティテューショナル・リサーチ」と、研究振興を担う「ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレータ」の略語です。

いずれもアメリカでは専門職としてその地位が確立していると言われていますが、日本では最も先進的な大学において試行段階にあるような状況です。IRという言葉を初めて聞いてから裕に5年以上が経ちますが、いまだに「IRは何をする人か」すらも共通理解が得られていません。

IRとURAは未開の領域と言えるような状況ですが、だからこそ、その分野を極めることによって得られる果実、すなわち先駆者利益は大きいでしょう。大学業界で専門スキルを身につけるなら、IRとURAは未開のブルーオーシャンであるといっても過言ではありません。

 

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