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朝日新聞出版「大学ランキング」の事務職員データの活用と注意点

大学特集はどこの出版社でも定番の人気記事のようで、たとえば、朝日新聞の「大学ランキング」、読売の「大学の実力」、東洋経済の「本当に強い大学」、週刊ダイヤモンドも同様の特集を組んでおります。
その中で、大学業界志望者向けのデータを掲載しているのが「大学ランキング」であり、事務職員の採用数や倍率、自校出身者比率などのデータを提供しています。
そこで今回は、朝日新聞出版「大学ランキング2016」の情報をもとに、大学事務職員の採用に関するデータの考察と、数字に関する留意点などをまとめてみたいと思います。

大学事務職員の採用倍率(新卒)

1.京都産業大学 128.9倍

2.法政大学 120.0倍

3.青山学院大学 97.0倍

4.中央大学 83.5倍

5.東京理科大学 80.8倍
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10.中京大学 62.2倍
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20.順天堂大学、立正大学 29.0倍
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30.岩手大学 22.5倍
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40.愛知学院大学 14.4倍

最初のデータは新卒採用倍率。2位の法政大学までは100倍を超えており、大手民間企業と比べても遜色ないほどの人気ぶりとなっています。法政大学の学生数は10位くらい(約2.7万人)なので、民間企業風の言い方をすれば「準大手」クラス。準大手で120倍なのだから、やはり就職市場において大学業界全体の魅力が高まっていると考えてよいでしょう。(もっとも、全国780大学のトップ10なので、他大学から見れば「雲の上」の大学です)
ちなみに、「大学ランキング」は国公私立大学すべて含めてのランキングです。国立大学のトップは東京医科歯科大学で32.3倍、公立大学のトップは岩手県立大学で40.4倍となっています。

ここで注意すべき点として、国立大学は地区ごとに実施される一次試験をパスしなければ大学別の採用試験(二次試験)を受験できません。このため、国立大学の採用倍率は2次試験における数字だということで、私立大学とは計算のベースが違います。
また、細かいところを指摘するならば、国立大学の採用(独自採用を除く)には新卒・既卒の区別がありませんので、厳密には「新卒ランキング」に入れるべきではありません。

大学事務職員の採用倍率(既卒)

1.千葉商科大学 209.0倍

2.神戸女学院大学 145.6倍

3.神奈川大学 123.2倍

4.工学院大学 108.3倍

5.文京学院大学 100.0倍
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10.大東文化大学 65.0倍
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20.名古屋女子大学 19.6倍

中途採用の倍率では1位の千葉商科大学が200倍を超えてきました。なお、別の年度のランキング(大学ランキング2015)では、4位の東京経済大学までが200倍超えとなっております。全般的に2016年度よりも2015年度のランキングの方が明らかに高倍率となっているため、ただの偶然なのか、何か他の要素があるのか、そのあたりが気になります。

また、上記の採用倍率(新卒・既卒)と、後述する自校出身者比率は、採用数5名以上の大学のみを集計対象としています。もしも採用数が1名または若干名という大学を加えれば、かなりランキングは変動するものと思われます。

新規採用者数

1.筑波大学 47名

2.東北大学 46名

3.昭和大学 45名

4.日本大学 44名

5.東北福祉大学 43名
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10.東京大学 36名
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20.山形大学、東海大学、同志社女子大学 28名
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32.大阪大学、長崎大学、神戸学院大学 23名

新規採用者数は国立大学が上位にランクインしています。また、3位が昭和大学、4位が日本大学となっており、やはり病院職員の採用が多いということでしょう。

なお、「大学ランキング」では特に説明がありませんが、おそらく上記の数字は専任以外の雇用形態も含まれているものと思われます。というのも、1位の筑波大学が47名となっておりますが、同大学の平成28年度の採用予定者数は17名(27年度は15名)であり、かなり数字に開きがあるためです。その他の大学に関しても、専任職員の採用者数とは思えません。(ということは、採用倍率のデータに関しても専任職員以外が含まれているのでしょうか?詳細不明ですが、数字の意味合いが全く変わってきてしまうので、ぜひ注釈を充実させていただきたいところです)

自校出身者比率

1.跡見学園女子大学、創価大学、同志社大学 100.0%

4.専修大学 87.5%

5.広島大学、関西大学、京都女子大学 83.3%
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11.同志社女子大学、名古屋外国語大学 78.6%
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20.愛知淑徳大学 61.9%
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29.信州大学、関西学院大学 52.6%

2016年ランキングでは1位(100.0%)に3校が並びました。創価大学は2015年ランキングでも1位(100.0%)となっています。一方で同志社大学は2015年ランキングでは33位(62.5%)となっており、年度によってかなりバラツキが感じられます。

自校出身者比率は、採用倍率より圧倒的に重要な数字です。というのも、実力さえあれば高倍率を勝ち抜くことができますが、自校出身者比率が高い大学においては、実力以前の段階で勝負が決してしまうからです。
29位の関西学院大学でも5割を超えていることから判断すれば、私立大学における自校出身者の優位性は明らかと言えるでしょう。
もっとも、大学数の少ない地域・地方においては、自校優遇とは別の理由、すなわち生活通勤圏の問題から、結果として自校出身者の比率が高まるという事情はありえることと思われます。

国立大学に関しては筆記試験が重視されますし、また、自校出身者が応募してこないような大学もありますので、出身大学による有利不利は意識しなくてよいでしょう。5位に広島大学(83.3%)が入っていますが、おそらく広島県庁と併願受験する広大生が多いのだと思われます。

早稲田大学40歳モデル賃金、日本最高峰私学の待遇に驚いた

先日、ある転職情報サイトに「【管理職(課長級)】総合職 ※女性積極採用中」という見出しが掲載されておりました。求人元は言わずと知れた私学の雄、早稲田大学です。
早稲田大学は例年4月と10月に既卒者採用を行っているため、今年もそんな時期かと求人条件をななめ読みしていたところ、給与の項目に眼が釘付けになりました。

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40歳課長級のモデル月給が589,750円。一律手当が含まれるとのことなので、管理職手当のほか、通勤・住居・扶養手当などが含まれているということでしょう。
ボーナス実績は公開されておりませんが、おそらく6ヶ月前後だとして、額面年収で1000万円を少し上回るであろう給与水準です。
なお、年収1000万クラスの給与所得者においては、所得税・住民税と社会保険料で額面金額からの控除も大きいため、実際の手取りは45万程度になると思われます。

早稲田大学の給与水準を比較的に考察するため、国立大学といくつかの私立大学について、ネットで情報を拾ってみました。

まず、国立大学については下記のサイトを参照しました。
国立大学職員日記
4.国立大学事務職員の出世上位グループの昇給パターン
http://blog.goo.ne.jp/la_old_september/e/59bae2435e9afc4aab24e7d55dbce49b

国立大学の場合、昇給と昇格はかなり密接な関係にあり、出世しなければ給与も上がらないシステムになっています。国立大学のプロパー職員が40歳で課長に昇格することは極めて稀なケースかと思われますので、早稲田大学のモデル賃金と単純比較はできません。
参考まで、上記のサイトによれば、40歳給与は327,7000円とのことでした。この金額に諸手当を加えたとしても、額面で40万円には届かないでしょう。手取りは30万円を割り込むと思われます。

一方で私立大学については、最も信ぴょう性が高いのは給与規程を公開している麻布大学です。

学校法人麻布獣医学園給与規程
http://www.azabu-u.ac.jp/information/reiki_int/reiki_honbun/w0390032001.html

麻布大学の事務職員の賃金テーブル(俸給表)は、11級32号俸から構成されており、同規程の別表第6により大卒新人は2級2号俸からスタートします。また、給与規程運用に関する規則によると、課長職は7級以上と定められています。
前出の俸給表によれば、課長職7級の給与は1号俸284,300円から22号俸440,700円までとなっています。そして、給与規程別表第8に定められる昇格基準に従い最短で出世した場合、40歳課長職ならば7級8号俸354,100円あたりの賃金になるのではないかと推測します。(もっとも、国立大学ほどではないにしろ、私立大学においても40歳で課長に昇格済みであれば、かなりのスピード出世と言えます)
また、課長手当が3万円となっているため、上記に諸手当を加えれば額面月給で40万円を少し超える金額になるでしょう。
早稲田大学と比較すると、額面月給で15万円以上の差があり、ボーナス6.0ヶ月として年収で270万円以上の差となります。生涯年収では1億近い差になるかもしれません。

また、詳しいデータはありませんが、各大学が事務職員を公募する際に掲載していたモデル賃金を記録しておきましたので、そのうちの幾つかを抜粋します。
東京経済大学や関西大学は給与水準の高い大学ですが、それでも40歳課長職の給与は額面で50万円前後(諸手当込み)ではないでしょうか。

宮城学院大学(40歳月収):375400円
東京経済大学(33歳月収):337600円
関西大学(31歳月収):328300円
神戸女学院(35歳年収):650万円
岩手医科大学(36歳年収):660万円

上記の比較からも明らかなとおり、早稲田大学の給与水準は業界内で群を抜いています。金融や商社などの最大手クラス(30歳前後で年収1000万を超える)との比較では見劣りするものの、定年65歳で、おそらく50歳以降も細々と昇給が続くであろうことを踏まえると、長い目では負けるとも劣らない待遇であると思われます(もっとも、大手企業には社宅制度など額面以外の待遇もありますが)。

今回の早稲田大学による管理職募集にどのような人材が集まるのでしょう。モデル賃金公開の意図からすると、外資系金融や難関資格職あたりを狙っているのかもしれません。また、そうした人々が、大学という独特な組織の中で活躍することができるのか、という点にも興味があります。

大学職員の待遇・雇用条件(まとめ)

大学職員の待遇・雇用条件についての記事まとめです。
今後も順次追加していきます。

私立大学事務職員の給与に関する近年の事情
https://shokuinblog.com/staff/terms/191/

私立大学の給与規程はこんな感じになっている ~麻布大学の事例から~
https://shokuinblog.com/staff/terms/248/

国立大学って役職ごとに給与の差が大きいんだなぁと思った件
https://shokuinblog.com/staff/terms/240/

首都圏大学における派遣賃金が急降下中
https://shokuinblog.com/staff/terms/220/

これが私立大学の給与明細だ!現役職員による職場レポート
https://shokuinblog.com/staff/terms/254/

ゴールデンウィークに考える休暇のこと云々
https://shokuinblog.com/staff/terms/182/

続。ゴールデンウィークに考える休暇のこと云々
https://shokuinblog.com/staff/terms/185/

大学職員の雇用条件《実労働時間》
https://shokuinblog.com/staff/terms/208/

大学職員の有給消化率についてマジすかと驚愕
https://shokuinblog.com/staff/terms/262/

大学職員の有給休暇取得状況について読者の方からのコメント
https://shokuinblog.com/staff/terms/357/

立命館の福利厚生がすごいなと思った
https://shokuinblog.com/staff/terms/184/

関東学院がホワイト企業をアピール中
https://shokuinblog.com/staff/terms/221/

オープン公募より非公開求人を勧める2つの理由
https://shokuinblog.com/news/225/

国公立大学職員の採用倍率についての考察

今年の就活解禁日となる3月1日、各地区の国公立大学等試験実施委員会が一斉に、平成29年度の職員採用試験に関する要項を発表しました。試験の実施概要についてはこちらのページにまとめましたので、関心のある方はご覧いただければと思います。
さて、それに関連して本稿では、国公立大学職員の採用「倍率」についてデータを考察して参りたいと思います。

各地区の1次試験倍率(事務職員)について

全国7地区の1次試験(事務職員)の合格倍率は以下のとおりです。
データは各地区試験実施委員会が公開している平成27年度の試験実施状況に基づき作成しました。

地区 受験者 合格者 倍率
北海道 1,565 384 4.1
東北  2,686 534 5.0
関東甲信越  12,139 1,550 7.8
東海北陸  3,978 1,176 3.4
近畿 4,796 907 5.3
中国四国 3,521 589 6.0
九州 6,282 685 9.2

上表からひと目で分かるとおり、1次試験の合格倍率は地区ごとにかなりの開きがあります。
もっとも倍率の低い東海北陸地区では3.4倍(平成26年度は3.7倍)、反対に最も倍率の高い九州地区では9.2倍(平成26年度は11.0倍)となっており、合格倍率において3倍に近い開きがあるのです。なお、北海道地区も東海北陸地区と同様、1次試験の合格倍率は例年3倍台から4倍前後で推移しています。

それでは、国公立大学の事務職員を目指すなら東海北陸や北海道が狙い目かと言われると、必ずしもそうとは言い切れません。
九州地区試験実施委員会のウェブサイトでは、1次試験実施後の流れについて、以下の説明がなされています。

第一次試験に合格されますと、第一次試験合格者名簿を作成し、各国立大学法人等に配布します。採用予定機関ではこの名簿から候補者を選び、面接考査等を実施し採用者を決定します。

上記の文言だけでは具体的な事情は分かりませんが、2次試験の選考において1次試験の点数が考慮される可能性、また、2次試験前に実施される「業務説明会」という名のセレクションで何らかの配慮がなされる可能性などを考えますと、後述する2次試験の倍率なども念頭に、やはり1次試験の点数は高いにこしたことはありません。
国家公務員試験のように1次試験のウェイトが明示されているわけではないので何とも言えませんが、最終合格の可能性を高めていくうえでは上位合格を目指していくべきでしょう。

2次試験と最終倍率について

各試験実施委員会による1次試験の合格者は、各国公立大学が実施する2次試験を受験します。
採用予定者数は大学ごとに異なり、また、小規模の大学においては採用ゼロという年度もあります。
なお、2次試験は試験日程が重ならない限り併願が可能なので、複数の国公立大学の2次試験を受験することができます。

残念ながら、2次試験の受験者数を公表している国公立大学が見当たりませんでした。このため、2次試験の合格倍率(すなわち最終倍率)について、具体的な数字は分かりません。
ただし、上記のとおり2次試験は併願が可能なため、1次試験合格者の大半が主要国立大学を受験するものと考えられます。具体的には、北海道地区の1次試験合格者の多くが、北海道大学の2次試験の受験を希望するであろう、ということです。
この理屈で言えば、平成27年度の北海道地区の1次試験合格者384名が北海道大学の2次試験(採用予定数25名)を受験したとして、2次試験の合格倍率は15.4倍となります。あまり意味の無い数字かもしれませんが、1次試験の倍率(4.1倍)と掛け算すると、北海道大学の事務職員採用試験の合格倍率は約63倍となります。

しかしながら、国公立大学職員採用試験は公務員試験との併願者が相当数いるため、実際の倍率は上記の数字から、それなりにズレる(下がる)と思われます。

平成28年度国立大学法人等職員採用試験の概要について

試験実施団体

北海道地区国立大学法人等職員統一採用試験実施委員会
東北地区国立大学法人等職員採用試験実施委員会
関東甲信越地区国立大学法人等職員採用試験実施委員会
東海・北陸地区国立大学法人等職員採用試験実施委員会
近畿地区国立大学法人等職員統一採用試験実施委員会
中国・四国地区国立大学法人等職員採用試験実施委員会
九州地区国立大学法人等職員採用試験実施委員会

スケジュール

受付期間:
平成28年6月29日(水)10:00~平成28年7月13日(水)17:00
※インターネットで申込みを受け付けます

第一次試験日:
平成28年8月21日(日)

第一次試験合格者発表日:
平成28年9月8日(木)~16日(金)
※地区ごとに異なります

第二次試験日(及び合格発表日):
原則として各国立大学法人等で行います(大学ごとに日程が異なります)

採用の流れ

一次試験にはインターネットで申込むこととなっており、メールで送付される受験票を印刷して持参します。合格発表は地区ごとに異なりますが、試験実施から3~5週間後に発表されます。
一次試験の合格者は各実施委員会が作成する「第一次試験合格者名簿」に登録され、この名簿は合格発表から1年間保管され、欠員が生じた場合にはこの名簿に基づいて都度採用が行われる仕組みです。
なお、一次試験は従来5月に実施されていましたが、現在は8月下旬となっています。

一次試験合格発表後(大学によっては一次試験実施後)、各大学は業務説明会(機関訪問)を行います。参加は必須ではありませんが、国家公務員で言うところの官庁訪問のようなものですので、二次試験で不利益とならないよう是非参加した方がよいでしょう。

二次試験の内容は大学ごとに異なり、面接考査では個人面接やグループディスカッション、適性試験や小論文などが課される場合もあります。二次試験に関しては私立大学の採用選考試験や民間企業の就職活動とほぼ同様だと言えます。

二次試験の合格発表(つまり内定通知)は大学ごとに行われます。いわゆる内定解禁日のようなものはないため、二次試験後はそれほど間を置かず内定が通知されます。内定に応じた場合には、各試験実施委員会に「第二次試験合格届」を提出します。なお、複数の大学から内定を受諾することはできません。

採用予定者数

採用予定者数は各大学(高専・独立行政法人・大学共同利用機関含む)がそれぞれ設定していますので、試験実施委員会のウェブサイトをご確認ください。
なお、採用予定者数は随時変更となる可能性があります。