月別アーカイブ: 2016年2月

採用試験の倍率と難易度

専任職員は229倍の狭き門となることも・・・

近年、大学職員が職業として人気化しており、雑誌などで度々取り上げられる機会も増えてきました。職業としての認知度が高まることは、より良い人材が集まることにもつながりますが、その一方で、応募倍率の極端な上昇を招くことにもなりました。

一例として、関西大学では例年30倍程度であった既卒者採用の応募倍率が、平成23年度には採用者3名に対して568名の応募者が殺到し、応募倍率は189倍となりました。国公立大学においても、神戸市外国語大学では平成27年度実施の採用試験において、採用者1名に対して応募者数は229名(すなわち229倍)となっています。

関西大学採用実績
http://www.kansai-u.ac.jp/saiyo/chuto_jisseki.html

神戸市外国語大学(平成27年実施)
kobe0220

このように、倍率だけを見ると超一流企業も青ざめるような高倍率となっており、少子化による経営危機などどこ吹く風で、人気の過熱ぶりは誰の目にも明らかな状況です。

書類審査・面接試験における「絞り込み」の事例

実際に大学職員の公募に申込むことになると、まず気になるのは各選考段階での「絞り込み」ではないでしょうか。すなわち、書類審査や面接試験でどの程度の人数が通過するのかということであり、ネットの掲示板でもこの手の話題でもちきりになります。

選考段階での「絞り込み」の方法については極めて情報が少ないのですが、特定非営利活動法人大学職員サポートセンターという団体のセミナー資料に法政大学と芝浦工業大学の事例が掲載されておりました。

法政大学
書類選考(464名通過)→筆記試験(142名通過)→一次面接(30名通過)→二次面接(19名通過)→最終面接(7名通過)→内定

芝浦工業大学
ウェブ選考(167名)→筆記試験(55名)→一次面接(26名)→二次面接(8名)→最終面接(4名)→内定(1名)

法政大学では書類選考で464名通過となっていますので、実際の応募者はその2倍以上かと思われます。両大学とも応募倍率は軽く100倍を超えています。これだけの応募者が殺到していることもあり、多少のバラつきはありますが、どの選考段階でも人数を1/3程度に絞っているなという印象を持ちました。また、当事者目線でヒヤリとするのが芝浦工業大学の最終面接で、4名が面接に臨んで通過者(内定者)はたったの1名です。最終面接でもしっかり絞られる、これが大学職員採用選考の現実と言えるでしょう。

「高倍率=高難度」というわけではない

100倍を超えるような高倍率を目の当たりにし、その数字にたじろがない人はいないでしょう。何かの雑誌に「大学職員の採用試験はオーディション並の高倍率」ということが書かれていた記憶がありますが、数字だけを見ればその通りかもしれません。

しかしながら、どれだけ高倍率であったとしても、それが必ずしも高難度とイコールではありません。もちろん応募倍率100倍の採用試験が簡単であるとは言いませんが、実際のところ100倍でも200倍でも大した違いは無いのです。
大学側の採用事情としては、いくら応募者が多いからといって、面接回数を増やすわけにはいきません。応募者が多ければ書類選考で多めに絞るだけのことであり、2次面接や最終面接に残るような実力者には大した影響とはならないでしょう。

言わずもがなですが、採用試験は「総当り戦」をやるわけではありません。応募倍率が100倍だからといって、100人抜きをしなくては内定を取れないというものではありません。100倍であろうと200倍であろうと、せいぜい3回から4回の面接をパスすれば内定に手が届くわけです。
最終面接に残れるような実力があれば、100名のうち90名は相手にならないでしょう。残りの10名の中に「特Aランク」が何名いるのか、それが本当の意味での難易度です。

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紹介予定&派遣求人給与ランキング(2月18日)

2月5日付けの紹介予定&派遣求人の給与ランキングは以下のとおりです。
トップの拓殖大学はヘルプデスクの担当者を募集中。ITパスポートレベルの知識があれば可とのことなので、時給を考えればハードルは高くなく狙い目ではないでしょうか。
武蔵野大学は専任職員の給与水準は決して高くなかった記憶がありますが、それでも派遣職員の時給は高水準。政府が提唱する「同一賃金同一労働」に向けた動きなのかもしれません。
職員業界では人気のある付属学校勤務として、早稲田高等学校と早稲田実業もお勧めかと思います。
関西では立命館大学が再び時給1000円で募集をかけ、下限を探っているような展開です。

1750円:拓殖大学
1610円:武蔵野大学
1530円:早稲田高等学校
1500円:東邦大学
1500円:昭和大学
1500円:芝浦工業大学
1500円:東京女子医科大学
1500円:上野学園
1450円:二階堂学園
1420円:早稲田大学
1400円:東京医科大学
1400円:産業能率大学
1400円:順天堂大学
1400円:日本大学
1400円:早稲田実業
1360円:慈恵大学
1300円:法政大学
1200円:同志社
1200円:京都産業大学
1200円:宝塚医療大学
1000円:立命館大学

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大学職員の自己研鑚

大学職員へのスキルアップ支援

大学教員の指導力強化に向けたFD(ファカルティ・ディベロップメント)とともに、事務職員の能力向上を図るためのSD(スタッフ・ディベロップメント)にも注目が集まっています。大学での業務習得は基本的にOJTに任される部分が大きいものの、担当業務の枠に縛られない能力開発が必要であるという機運が高まっているのです。

各大学においては職層別研修や年次研修などの集合研修を実施したり、海外研修や早稲田大学のように大学院派遣(修士)の制度を設けている大学もあります。SDに関する取り組みは大学間でかなりの温度差があるものの、一部の大学が牽引する形でスキルアップ支援のバリエーションが広がっています。今後は賃金や福利厚生制度だけでなく、こうした能力開発制度の充実度が職場としての大学選びのキー(鍵)になっていくでしょう。

グローバル化にキャッチアップするための英語力

大学職員に求められる専門性として、まず欠かせないのが国際化への対応です。例えば、文科省は平成27年度に「スーパーグローバル大学創成支援」事業として東大を筆頭に37大学への優先的資源配分を決定し、さらに世界トップ100位内に10大学をランクインさせる目標を立てています。日本の大学はいま、グローバルを目指すかローカルを歩むかの二者択一を迫られています。言うまでもなく、少子化と過疎化が進むこの国において、ローカルという茨の道を好き好んで歩く大学など無いわけです。

では具体的に、大学における国際化とはどのような活動や業務を指すのかと言えば、おおむね次の3点ではないかと思われます。すなわち、国際的共同研究、派遣留学先大学の確保、海外からの正規留学生の拡大です。研究と言うと教員の担当分野ではないかと思いきや、出入国や滞在中の諸手続きは大学職員がサポートに回ることも少なくありません。これらの国際化事業を実らせるためには、大学職員の英語力が必要不可欠です。おそらく大手の民間企業に比べても、英語力に対する潜在ニーズは高いと言えるでしょう。

その一方で、大学職員が働く現場では、英語力に対する過小評価も根強いのです。とりわけ管理職が英語力の習得に消極的な職場環境では、「英語だけ話せても中身が無い」などと一笑に付されてしまうのです。これでは英語を勉強してやるぞ、という機運が盛り上がるはずはありません。このような大学は口先でグローバルを語りながら、トップ大学との差が開くばかりでしょう。

IR・URAという新たな専門スキル

上述したSDではコンピテンシー的な能力開発に重点が置かれているのに対して、いま大学業界で重要性が高まりつつあるのが、大学職員の専門職化です。すなわち、入学試験から卒業式まで何でもこなすタイプの大学職員ではなく、特定の領域に特化したスキルを持つ大学職員を意味します。

現在のところ、具体的に必要性が語られている専門職としては、IRとURAがその代表格でしょう。それぞれ、経営分析を専門とする「インスティテューショナル・リサーチ」と、研究振興を担う「ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレータ」の略語です。

いずれもアメリカでは専門職としてその地位が確立していると言われていますが、日本では最も先進的な大学において試行段階にあるような状況です。IRという言葉を初めて聞いてから裕に5年以上が経ちますが、いまだに「IRは何をする人か」すらも共通理解が得られていません。

IRとURAは未開の領域と言えるような状況ですが、だからこそ、その分野を極めることによって得られる果実、すなわち先駆者利益は大きいでしょう。大学業界で専門スキルを身につけるなら、IRとURAは未開のブルーオーシャンであるといっても過言ではありません。

 

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大学職員の役割

わたしたちは「大学プロデューサー」である

たしか立命館大学の採用ウェブサイトで「大学プロデューサー」という言葉を目にした記憶があるのですが、これはまさにその通りだろうと思っています。

大学教員が、たとえ事務職員よりも立場が上であろうと、各種の委員会で発言権を持っていようと、やはり大学教員の興味関心の大半は、自分自身と所属学部の権益に向いています。大学全体をどのような方向に進めていきたいとか、ブランディングの着眼点とか、そのような発想を持っている大学教員は(私自身が業務で接する範囲では)ほとんどいません。

事務職員は大学教員がアンタッチャブルな法人業務を司るのはもちろん、教学業務の細部にまでサポートに回っています。広報活動を通じてブランディング活動を行い、入試業務を通じて大学に相応しい学生を集め、研究支援を行うことで将来への投資を図り・・・大学職員の役割は非常に多岐にわたります。もちろん1人の事務職員が全てに関わるわけではありませんが、それぞれの事務職員が各自の持ち場で「大学プロデューサー」として大学の魅力向上に貢献しています。

大学教員が教育や研究に専念するための「アウトソーシー」である

大学職員の役割を説明するうえで、大学教員と中学・高校の教員の違いについて触れておきたいと思います。
中学・高校の教員の仕事は大学教員に比べて事務的作業が非常に多く、もっとも手間なのが成績表や出願書類の作成です。いまでこそパソコンやワープロを使えるようになってきていますが、成績や所見の入力から印刷及び生徒への配布まで、基本的にすべて教員が行います。
また、入学式・卒業式や体育祭などの各種行事の企画・運営もすべて教員が行います。学校内の委員会活動で使用する資料はもちろん教員の手作りであり、会議の通知から資料の印刷・配布まで教員が自分で行います。

一方で大学においては、上記に列挙した業務の大半は事務職員の仕事です。例えば、定期試験の採点は教員の仕事ですが、成績表の作成や配布は事務職員が行います。入学式や卒業式に関しては、登壇者以外の教員は出席すらしません。委員会で配布する資料は事務職員が作成します。

大学は中学・高校よりも圧倒的に事務職員が多いため、事務的作業の大半を事務職員にアウトソースすることが可能です。事務職員が「アウトソーシー」として事務的作業を引き受けることにより、大学教員は教育と研究に専念することができるのです。

大学職員は教員コミュニティーの「官僚サン」である

大学教員は決して仲良しグループではなく、組織として一枚岩ではありません。けっこうな割合でお互いのことを奇人・変人だと思っており、腹が立つので話したくもないと言っている教員もいます。1人の教員の文句に付き合わされて、教授会が深夜まで長引くこともあるのです。(還暦を過ぎたお爺ちゃんどうしが、いい加減にしろ!と怒鳴り合う風景を想像できるでしょうか?)

教員組織は良く言えば多様性であり、悪く言えば単なるカオスです。そのような組織を円滑に回していくためには、感情的にならず第三者的に関わることのできる人、すなわち事務職員の存在が欠かせません。大学教員の中には(もちろん冗談半分で)事務職員を「官僚サン」と呼ぶ人もいますが、ときには教員の愚痴を聞き、教員の気が済むまで文句を言われ、それでも「あるべき方向に」組織を案内していくのが事務職員の一つの姿だと思っています。

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大学職員の苦労や悩み事

丸腰で本番に挑む「なんでも屋」

セブンイレブンであれ東京ディズニーリゾートであれ、一流のサービス業には一流のマニュアルがあります。その場対応力が顧客満足の決め手であることに違いはありませんが、それも確かなマニュアルが土台にあってこそ為せることです。

これらの企業と業界こそ違えど、大学職員にも接客的な業務やイベント対応は多々あります。分かりやすいところでは学生対応窓口のある学生部や教務部、就職部なども同様でしょう。研究支援系の部署では教員に対する窓口業務があり、寄付金担当の部署ではOB・OGや企業などが相手となります。
大学にとって最も重要なイベントは入学試験対応であり、その他にも定期試験や入学式・卒業式、オープンキャンパスや出張説明会など、年間を通じて数々の催しがあります。

多くの大学職員が「しんどい」と口にすることは、上記のような業務やイベントについてのマニュアルがほとんど存在しないということです。大手企業のように事前研修が充実しているわけではなく、配属初日から何も分からぬまま窓口に立たされます。他大学出身者であれば、その大学の学部名さえ記憶が定かではない状況で、教務部の窓口で学生対応をしなくてはなりません。

入学試験対応では全部署総出で試験監督などに駆りだされますが、担当者一覧とタイムスケジュールが記載された薄い要項を当日配布されるだけで、それ以外の説明は特にありません。入学式も卒業式も同様です。「何か困ったら近くの職員に聞く、それで大抵なんとかなる」という前提のもと、大学職員は常に丸腰で本番に挑む「なんでも屋」なのです。

事務職員の「レッテル」を背負う、という苦悩

わたしが大学職員になって間もない頃、とある先輩職員から大学教員の書いた会議資料のチェックを頼まれました。その資料はとても読みづらく、曖昧で冗漫な記述を多く含んでおり、業務文書としてはいささか問題があるように思われました。そこで最低限気になる箇所だけ修正して報告したところ、その先輩職員から「誤字が無いかだけ見てくれればよかったんだけどね」と言われ、結局のところ修正無しで会議に提出されました。

教員が事務職員的な仕事もこなす小規模大学は別として、教員と事務職員はこのような関係にあると考えて間違いないでしょう。よほど例外的なケースを除いて、課長になろうと部長になろうと、この関係は変わりません。30代の教員が50代の職員にタメ口を使うことなども驚くに値しません。最近では「教職協働」という言葉をよく耳にしますが、実際のところ同じ釜の飯を食う仲間というような意識はほとんどありません。

当たり前と言えば当たり前のことなので誰も口に出しませんが、やはり教員に対する事務職員の立場の低さは、なんとも言えない鬱屈としたものがあります。なるべく気にしないように心掛けてはいますが、ふと思い出すたびに憂鬱にならざるをえません。

「下り列車」の終着駅はどこに? ~人は減らされ仕事は増やされ~

ここ10年程度の間に研究支援系や学生サポート系の部署を新設した大学も少なくないと思われます。国による補助金政策の後押しもあり、今後はIR部門(インスティテューショナル・リサーチ)を設置する大学が増えてくるでしょう。

景気の良い業界であれば事業拡大とともに社員数も増えるのでしょうが、大学業界では職員数が増えるどころか専任職員から契約職員への切り替えが進められています。学生獲得のために高校生対象のイベントは増えるばかりで、こうした新規業務は部署横断的に人を出して対処しているような状況です。

大学という「下り列車」が20年後か30年後、いまと同様にどこかの寒村を走り続けているのか、あるいは何らかの終着駅に行き着いているのか、いずれにせよトンネルの先に明るい未来が見えないというのは、大学業界で働く人にとっての共通した悩みではないでしょうか。

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