英語が劇的に難化?2020年度以降の大学入試制度改革を読む

2020年度に予定される大学入試制度改革(仮称:大学入学希望者学力評価テスト)ですが、新たに導入が予定される記述式問題の問題例が公表されました。やはり大学人としてはこれから入学してくる子供たちに関わることですから、とりわけ強い関心を持っています。さっそくですが本稿では今回公表された問題例に関する所感について簡単に述べたいと思います。

新大学入試制度では、当面は国語と英語の2教科で記述式問題を運用する予定となっており、国語で3問と数学で1問の問題例が今回公表されました。
国語については棒グラフを読みながら適切な文章を作文させる問題で、ビジネスシーンで求められる日本語運用能力を測るような出題となっています。数学については三角関数を天体観測に応用させる問題となっており、「生きた数学」とも言えるような出題でした。
どちらも実践的応用力を重視した出題となっており、とりわけ数学については中学入試を彷彿とさせるような、学問への好奇心を喚起するような良問かと思います。
記述式問題の導入に向けては、試験問題の作問や採点にかかる負担など、ハードルはまだまだ高いと思いますが、可能性は未知数ながら中学・高校における学習の常識が変わるかもしれません。そういう変革へとつなげることを目標に、関係各位にはご尽力願いたいと思います。

さて、英語については記述式問題の導入時期すら未定となっていますが、読売新聞12月23日朝刊に、参考(2014年度英語教育改善のための英語力調査事業からの抜粋)として、以下のような問題が掲載されていました。

《問題》
あなたは授業中に、下記のテーマで英語のエッセーを提出することになりました。

エッセーのテーマ:
インターネットなどを利用して、多くの人と友だちになることが話題になっています。
このような方法で友だちや知り合いを増やすことについて、あなたはどう思いますか。
あなたの意見とその理由を書きなさい。解答時間は20分です。

・自分自身の考えや具体的な経験に基づいて、自由に書きなさい。
・制限時間内でできるだけたくさん書きなさい。
・イラストは、具体例を書くための参考です。イラストの内容を参考にして書いても、あなた自身の経験を書いてもかまいません。

《解答例》
I believe that making friends through use of the Internet has many advantages. Let me explain my opinion.

One major benefit of using the Internet is convenience. As it is available at any time and in almost any place, people have unlimited access to others. Some people do not have enough time to meet others face to face, while others have trouble finding friends with similar interests in their area. With technology, people have a convenient way to make new friends.

Another important point is the global aspect of the Internet. In order to solve the problems of society, people around the world need to understand each other. The Internet has made it possible for those of different nationalities and backgrounds to become friends. By exchanging views and opinions, these new friends develop a deeper understanding of important global issues.

In conclusion, I feel that the Internet allows people around the world to communicate in a convenient and meaningful way.

上記の問題・解答例に対する率直な感想を述べますと、解答例の水準が非常に高いですね。きわめて一般的なテーマを指定した自由作文ですから、標準レベルの高校生には日本語でも容易ではないはずです。
文法に関しては、まず「the Internet」という語法を知らないと話になりません。第2パラグラフの2文目(As it is available…)の「As」の用法についても、よほど作文のトレーニングを積んでいなければ書く勇気を持てないでしょう。第3パラグラフの「those of different nationalities…」も書けそうで書けません。

おそらく新大学入試制度で上記のような記述式問題を出題した場合、今現在の学校教育を受けた高校生では、まったく太刀打ちできないでしょう。中学・高校における英語教育の水準を抜本的に底上げし、せめて半数程度の高校生がこうした出題に対応できる学力を身につけていなければ、記述式問題を出題する意味がありません。

大学入試制度改革には、導入にあたっての非常に高いハードルと、その先にある大きな果実を予感しています。今後の動向を注意深く見守っていきたいと思います。

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