東大が二流化する!? 海外大学進学により崩れる序列

いまから20年前、globalという言葉は英単語帳で暗記するものだった。「globeが球体だから、globalが世界を意味する形容詞かぁ」という感じで理解していたような記憶がある。
しかし今や、教育業界に身を置く立場では、グローバルという言葉を耳にしない日がむしろ少ない。そんな変化が高校生にも起こりつつあり、高感度な中高生はすでにglobalな生き方を選択している。
中年以上の大人達には聞こえないモスキート音のようなglobal化は間違いなく進行しており、そのあたりが本日のお題。例によってご関心があれば続きをお読みあれ。

東大の二流化に気づいてしまった高感度な中高生が海外に流出している状況は、野球やサッカーの世界と全く同じ。Jリーグで満足?それともインテルで頑張る?日本代表はほとんど海外組だけど?という状況が、一般社会にも迫ろうとしているのだ。


まずはこちらのデータをご覧あれ。サンデー毎日5月31日号に掲載された「全国120進学校海外名門大学合格実績」からトップ3校を抜粋。データは2015年度入試実績。カッコ内の数字は卒業生数。

開成(399)ハーバード2、エール、UCLA、北京、ブラウン、ボストン、他14 ※東大185
筑波大付駒場(157)オックスフォード、エディンバラ、マンチェスター、ダラム ※東大112
渋谷教育学園幕張(343)プリンストン2、エール、コーネル、ニューヨーク、他12 ※東大56

自身が高校時代にも1年間留学するくらいの人はいたけど、そういう人も進学先は日本の大学であり、海外の大学に進学しちゃったという人は身近には皆無だった。ちなみに自身も中学時代に留学したいと母親に相談するも、寝言は寝て言え的に門前払いされたビターな記憶ありw
やや脱線したけど、海外大学への進学は数年前から注目されており、ベネッセグループの海外大学進学の専門塾Route H(たぶんHarvardへの道という意味かと)は度々メディアに登場する。

海外トップ大進学塾 Route H
http://rt-h.jp/

Route Hの卒業生(2010-2015)は41名。そのうち37名が海外大学に「進学」している。11名がハーバード、8名がエール、5名がプリンストン、スタンフォード・MIT・ダートマス・コロンビア・オックスフォードが各1名。このうち9名は東大にも合格している。海外大学に合格しなかった生徒はわずか2名。その2名の進学先は東大文Ⅱと早稲田政経。
海外大学を目指しているのは、決して日本の教育システムからドロップアウトした若者ではなくて、我が日本の誇るガチ秀才だということ。
ちなみにRoute Hは中1から高3までの6学年全体で定員15名。年額受講料は50~75万ということなので、塾の家賃にもならない、採算度外視大赤字の学習塾でしょうな。

このようなデータを見て、どのように感じるだろうか。保護者はどう感じるか、中高生はどう感じるか。「小学校から塾に入って、東大合格してバンザーイ」みたいな生き方はヤバイぞ、と思うのではなかろうか。
偏差値が高い中高生ほど、その焦りは強いはず。同級生が進路希望にHarvardとか書いてたら、東大合格率A判定なんて冷めたステーキみたいなもんでしょね。そんな彼らが悶々とした気分で東大での4年間を過ごし、40歳で同期トップで部長に昇格して一安心したのも束の間、Harvardを卒業した元同級生が米国本社から日本法人社長として転勤してきた、なんて悲劇も現実に起こりうる。

リーマン・ショックの前あたりから、東大などトップ学生の就職先として外銀や外資系コンサルが人気になっていたけど、彼らの就職先はあくまで日本法人。そういう会社に入ると、入社後に米国研修があって、出世に影響する英語での授業やテストに徹夜で備えるという。もちろんHarvard卒の米国本社採用なら、夜な夜なクラブ遊びをしつつオールAだろうね。どういう生き方をしたいかによるけど、こんな世界で生きていきたいなら海外大学に進学するのが合理的。

海外大学への進学は将来のキャリアに影響するだけでなく、入学1日目から日本の大学とは違うはず。授業科目の履修登録で苦労し、親元から生活費を送ってもらうため現地で銀行口座を開設するのに苦労し、街に出れば行儀の悪い若者からガムを吐きつけられ、こんな生活を半年送るうちに見違えるほどタフになると思われる。東京大学が「タフな東大生」の育成を目標に掲げているけど、タフの次元が違うのは明らか。
海外大学への進学は圧倒的に少数派だけど、数が少ないからこそ希少価値があり、希少価値こそエリートの証明。

東大の二流化に気づいてしまった高感度な中高生が海外に流出している状況は、野球やサッカーの世界と全く同じ。「Jリーグで満足?それともインテルで頑張る?日本代表はほとんど海外組だけど?」という問題。
超難関校やRoute Hを例に出して、これを一般論と語るつもりは全くない。しかし、これらの若者はアーリー・アダプターにすぎず、合格実績の数字以上にすそ野は広いと思われる。この地殻変動は緩やかに進行し、10年後か20年後、彼らが脚光を浴びたとき、激流となって日本の大学業界全体を飲み込むのではなかろうか。

という感じでつらつら書きつつ、次回もよろしくお願いします。

 

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