NHK Eテレ『U-29』大学職員の放送回を見ての感想

当ブログにて先日ご紹介しましたが、NHK Eテレ『U-29』にて大学職員の仕事が紹介されていました。取材を受けたのはAPU(立命館アジア太平洋)の学生課職員さん。他大学の事務室や仕事ぶりを拝見する機会などほとんど無く見逃すまいと録画視聴させていただきました。今回はその感想を含め、事務職員の視点から考察を加えていきたいと思います。例によってご関心があれば続きをご覧あれ。

さて、今回『U-29』の取材を受けていたのは、APU(立命館アジア太平洋大学)の学生課に勤務する木村さん。APUは大分県別府市にある立命館傘下の大学です。開設時には大分県と別府市から土地の無償提供や施設設備費の大幅支援を受けており、地方自治体から支援を受けて大学を開設するというのは失敗例が少なくないのですが、APUでは留学生を2800人も集めるなど成功しているようですね。ちなみに国別の構成は、アジアが8割以上、欧米からは100名程度となっています。詳しいデータはこちら

さて、取材を受けた木村さんは立命館大学を卒業後、立命館に就職し、APUは初配属先とのこと。APUのスタッフは現地採用も多いと思いますが、立命館大学との間で普通に人事異動があるようです。ちなみに、立命館のように付属校やサテライトキャンパスがあちこちにあると、財務や補助金などの事務においてはかなり骨が折れます。

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上表は木村さんの1週間のスケジュール。画像をクリックしていただくとNHKのウェブサイトに飛ぶので、詳細はそちらを御覧ください。
やはり学生課勤務ということで、業務時間の約半分は学生対応。その他、委員会の資料準備や、この週は外部調査への対応もあったようです。学生の大半が留学生であるという点を除けば、一般的な業務内容かと思いますが、いくつかの業務について簡単に解説を加えます。

休学ガイダンス:学生課では学籍管理をおこなっているため、休学関連の業務は学生課の担当です。ちなみに、学費納入は学籍維持に不可欠であるため、奨学金業務も学生課で取り扱います。
学生委員会:サイト上では「教授による学生の生活等に関する事項を審議する委員会」と説明されていますが、抽象的な表現で分かりづらいと思います。別の言葉で説明すると、「学生課の業務方針を決定し、学生課から様々な報告を受ける場」ということができるでしょう。大学では法人系の業務を除いて、各部署の業務方針を決定するのは教員を主体とする委員会です。審議と言っても、資料は事務局が用意し、それを承認するだけの形式的な場であることも少なくありません。
外部からの調査依頼:外部への情報提供の中で最も重要なのは補助金です。補助金の大部分である私立大学等経常費補助金は、金額が学生数に比例する要素もあるため、学生数に関わるデータを毎年報告しています。また、朝日や読売などの新聞社からも、毎年データ提供依頼があります。
入国管理局との連携:外国人が日本の大学に留学する場合、在留資格(留学)を取得しなくてはなりません。また、留学の在留資格で日本に滞在する者は、アルバイトをするために「資格外活動許可」が必要となります。それらを管理しているのが入国管理局だということです。

放送の中でも多くの時間が割かれていましたが、留学生にまつわる問題としては、第一に言葉の壁、そして宗教上の戒律です。
いまや国をあげて留学生の招致に乗り出していますが、各大学における留学生への支援体制は非常に手薄と言わざるをえません。APU規模の大学で日本語オンリーのスタッフが学生対応をしているようではいけませんね。窓口にネイティブを配置していない大学も少なくないと思います。
また、宗教にまつわる課題としては、とりわけ信者が多く、戒律の厳格なイスラム教への対応を意識せざるをえません。ハラルフードという言葉を耳にすると思いますが、戒律は食生活とも関わりが深いため、学生の生活をあずかる立場として無関心ではいられません。

今回の『U-29』では様々な問題を抱えつつもフットワーク軽やかに働く大学職員の姿が紹介されていました。APUという特殊な大学が舞台ですが、学生を支えるという職員の役割が分かりやすく描かれていました。大学職員には組織を支えるというもう一つの大きな役割があるので、そうした仕事も知っていただきたいとは思いますが。
放送の中で木村さんの上司の方が、「彼は学生のために頑張ろうという気持ちが強すぎる」と指摘していましたが、私は「強すぎる」くらいで良いのだと思います。そこそこの熱意では何も生まれませんからね。

 

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